外壁塗装における「下地調整材」と「下塗り材」の違い
下地調整材・・・〇〇フィラー/〇〇サーフ にあたります。
性能としては、「塗装前の外壁材表面の肌感を整える材料」のことです。
※肌感=外壁材表層 を指します。
下塗り材とは・・・〇〇シーラー にあたります。
通常3回塗りの内の1回目に塗装する、中塗り(上塗り)と外壁建材の密着力を確実なものにしてくれる、接着剤のような役割と言われている材料です。
日本ペイントで例えると、、、
① 主にモルタル外壁に使用する下地調整材
➡️パーフェクトフィラー(以下フィラー)
② 主に窯業サイディングに使用する下地調整材
➡️パーフェクトサーフ(以下サーフ)
③ 全ての外壁材に使用できる下塗り材
➡️水性カチオンシーラー(以下シーラー)
④ 難付着ボード(無機系or光触媒コーティング)専用下塗り材
➡️ファインパーフェクトシーラー(以下シーラー)
などが代表的な下地調整材・下塗り材として使用されています。
各材料の特徴
パーフェクトフィラー:モルタル・コンクリート外壁などに多く使われます。
(モルタル系外壁の小さいヘアクラックを全て補修できますので、下塗り工程の段階でクラックを隠せる材料です。)
パーフェクトサーフ:窯業系サイディング・ALC外壁に多く使用されます。
(サイディングやALCなどパネル系外壁の小さいヘアクラックを全て補修できますので、下塗り工程の段階でクラックを隠せる材料です。)
水性カチオンシーラー:モルタル・コンクリート・窯業サイディング・高意匠サイディング・ALC・ケイ酸カルシウム板など多くの外装建材に使用できる下塗り材です。
(下塗り工程の段階で小さいヘアクラックを補修できません。したがって下塗り工程では、大小含む全てのクラックを補修しなければなりません。)
ファインパーフェクトシーラー:無機系コーティングや光触媒コーティングが施された難付着ボード専用の下塗り材です。
水性カチオンシーラーと同じく、どんな外装建材にも使用できる下塗りシーラーですが、ファインパーフェクトシーラーは水性ではありませんので、どんな外壁にも推奨できるわけではありません。
(相見積もりをしていると、むやみやたらにファインパーフェクトシーラーを推奨する施工店がいますが、それは非常に危険な仕様になっているケースもあります。)
「下地調整材」と「下塗り材」の決定的な違い
【下地調整材であるフィラー/サーフ】と【下塗り材であるシーラー】の性能的な違い!
それは、 《 透湿性 》 と 《 密着力 》 です!!!
塗料メーカーカタログの一般的な仕様例として記載されている下塗り材は「フィラー/サーフ」が多いのですが、
カタログ裏面や下部の小さい字で記載された「※印マーク欄」や「施工上の要点及び注意点」を読むと、
新規塗装工事の下塗りには「シーラー」を塗装後、下地調整材であるフィラー/サーフを使用してくださいと記載があります。
これは、初めて塗装をする場合「フィラーとサーフでは、ダメです」と書いてあります。
実際にフィラーとサーフは「透湿性」と「密着力」がシーラー系下塗り材より遥かに劣ります。
※日本ペイントカタログより一部抜粋※
透湿性とは
塗装職人ならすぐわかる事ですが、先述した通り、フィラーとサーフは塗るだけでへクラックを埋める事ができてしまいます。
これは悪い事と言って良いほどの事で、クラックを補修せず隠して塗装する為、工事後の経年でクラックが再発するリスクが格段に高まります。
特にサイディングに下地調整材を用いる場合には、外壁の設置工法も関わる為、余計にシビアにならなければいけないのです。
なぜなら、「外壁サイディングの通気工法と直張り」が関係しているからです。
・サイディングなのにフィラーで見積もりする業者はそういった認識があるのか?
・なぜ下地調整材+上塗りの仕様なのか?
・2回目以降の塗装だから本当に下地調整材で安全なのか?
きちんと確認しながらご検討する事をお勧め致します。
(下地調整材を使用したい場合、シーラー1回+下地調整材1回+上塗り2回=4回塗りがベターです。)
パネル系外壁材のサイディングボードやALCなどは「 透湿性 」が最重要になります。
※高耐久にしたいからといって高価な塗料を選んだとしても、透湿性が確保されていなければ外壁塗装工事そのものが意味のない事になってしまいです。
パネル系外壁材を使用した建物の外壁は、通気工法か直張りか、通気層がどれだけきちんと設けられているかによって、塗装仕様を大幅に変更しなければなりません。
さらに、その建物の通気層に見合う、且つそのお家の「透湿性をより確保できる仕様」をお客様のご要望と擦り合わせないといけないのです。
そして本記事でも記載した通り、「塗装前の外壁材表面の肌感を整える」とは、シーラー系の下塗り材よりも塗膜が厚くなってしまうという事も含まれています。
たしかに厚く塗ることでクラック補修の工程を省ければ必然的に手間代が浮き、外壁塗装工事全体としては安くなります。
ですが、いくら厚くなったとは言え「塗膜は塗膜」なのです。
塗装前の下地処理で、きちんとクラックを専用補修材で埋め塗装すれば、工事後のクラック再発の可能性は抑制できます。(下地からの構造クラックなどは別)
それをクラック補修せずにクラックの上から厚膜になる塗料を塗っただけ。ではすぐ再発してしまうのも当然です。
窯業サイディングにおいて、サーフ系の下地調整材を用いる場合には、それに見合う構造になっているか、工事後のリスクも含めて調査・診断しなければなりません。
密着力について
近年、光触媒や無機系、何らかのコーティグが施された窯業サイディングが多く出回るようになりました。
その外壁材に下地調整材を使用するのは危険度、特大です!
これもカタログに記載がありますが、必ず専用の下塗り材に変更しなければなりません。
新築時に「セルフクリーニング効果があるサイディング材」を選んだり、「オプションでコーティングを施す」等、外壁材を少しグレードアップしている場合はコーティングが施されている事がかなり多いので、しっかりご確認ください。
またこれは私見ですが、
各メーカーが「下地調整材の方が食いつきが悪い」と公表している中で、初回の塗装メンテナンス時に下地調整材を選定・採用するのは不安でしかありません。
というのも、2回目以降の塗装工事でも、初回塗装時の塗膜の「密着力」を頼るわけです。
塗装工事を行う度に旧塗膜を剥がす訳ではありません。
その旧塗膜が下地調整材だった場合、2回目以降の塗装時にシーラー系下塗り材を使用しても剥がれてこないのか?
正直、私は不安が勝ります。
品質重視や良心的な施工店では、誰しもが同じく不安になると思いますが、「前回どんな仕様で塗装したのか?」
これによって、仕様を変えなくてはいけない場合もあるからです。
簡単に「密着力」と口にする施工店もありますが、「水性・油性」だけで判断するようでは密着力は熟知できていません。
町田市の外壁塗装専門店 ONE REFORMでは、お問い合わせやご相談を頂いたお客様には、きちんとこれら全てを書面にてご説明し情報共有させて頂きます。
プロとして嘘偽りなく施工しているからこそ出来る事です。
ご不明点やご検討中の方はぜひお気軽にご相談ください。
「下地調整材」と「下塗り材」におけるまとめ
①フィラー:モルタルやコンクリート面に適した下地調整材。
②サーフ:窯業系サイディングなどのパネル系外壁材に適した下地調整材。
※下地調整材は基本的にクラック補修をせず隠す。透湿性の懸念点も多いため、きちんと確認してください。
③フィラー/サーフ/シーラー:どの材料でも全てのクラック補修は確実にしてもらう。
(フィラーとサーフをお勧めしてくる業者はクラック補修を怠らないか、埋まると言ってくる業者は要注意です!)
⑤初めての外壁塗装の下塗りは、水性シーラー系下塗り材が最も安全!
⑥通常の3回塗り塗料でも、「下塗り材+下地調整材+上塗り2回」の4回塗りが出来るお家もあり、この組み合わせをした場合は、3回塗りより塗膜そのものを強靭にする効果が期待できます。