施主様からも意外と質問の多い「塗料の種類」をご存知でしょうか?
話は遡りますが、私がリフォーム業界に入った2011年頃、外壁塗装に使用されている一般的なグレードはシリコンでした。
それも時代の進化に合わせ、塗料メーカーがさらに研究を重ね、近年ではラジカル制御型や無機塗料へと発展しています。
近年では、10年ぐらい耐久させたい場合の標準塗料はラジカル制御型が最も多く使われていますが、施主様のご要望によっては、高耐久のフッ素系や無機系が採用される事も多々ございます。
ただし、そこで注意しなければいけないのが、「塗膜の硬さ」です!
事前に細かく調べている施主様でない限り、グレードは指定があっても塗料名で直接ご検討されている事はほぼありません。
したがって、ご希望のグレードのみ伝えてしまうと、外壁塗装の見積依頼をした業者は「よく取り扱うもの」や「職人が扱いやすいもの」または「原価を抑えられる在庫品での施工」になる事が非常に多いのです。
塗料は、メーカーや種類・グレードによって塗膜の硬さまでも異なります!
相見積をしている施主様は、業者が提出するお見積りの中から、
・見積書がきちんと細かく作成されているか。
・付随資料が添付されているか。
・担当者の人柄や会社の実績がどれほどあるか。
様々な情報を得て、比較・検討すると思いますが、営業マンは高耐久のグレードを勧める事も多くあります。
それは「歩合の為」「長期的に不備が出ずクレームになりにくい為」などたくさんの意味合いがありますが、高耐久グレードだからといって、絶対に長期的に不備が出ない訳ではありません!
高耐久グレード = どんな外壁にも長期的に耐久してくれる
これは間違いです!
なぜなら、各塗料メーカーは独自で塗料を研究し製造している為、塗料の性質が少しずつ違うからです。
当たり前のことですが、メーカーごとに同じグレードの塗料が全て同じ性質なら「メーカー」というライバル社が複数存在する意味がありません。
車で例えるなら、トヨタとホンダ、三菱や日産、各メーカーのボディラインだったり性能に各社独自のアピールポイントがあるように、塗料メーカーも同じグレードでも少しずつ性質が異なるんです。
「高耐久の高いグレードにしたのにこんなはずじゃなかった!」なんてことになる前に、きちんとご確認する事をお勧め致します。
【 塗料の種類における豆知識 】
・無機塗料は塗膜として硬い
➡️外壁塗装や屋根塗装に使用する塗料は、ほとんどが有機です。
それをガラスなどの無機成分を混ぜる、あるいは無機成分を多めに調合することにより無機塗料グレードを完成させました。
無機成分は有機成分に比べ、成分の都合上硬い傾向にあります。
ご想像できる方もいらっしゃるかと思いますが、外壁塗装後の塗膜も硬くなりやすく、気付いたら塗膜だけが割れているなんてこともあります。
※他社にて施工し不備が出ているから見てほしいというお問合せもあり、私自身で見た経緯もございます。
※無機を代表するガラスを想像してわかるように、硬く割れやすいのが一目瞭然です。
・ラジカル制御の成分は昔から使われている
➡️チョーキングが非常に出にくいと言われているのが、ラジカル制御型塗料です。
ただし実はその成分が塗料に調合されたのは近年ではなく、ずっと前からある機能なのです。
塗料は樹脂や酸化チタンという複数の成分が組み込まれており、メーカーごとに経年劣化における見解などももちろん異なります。
そしてチョーキングが発生するのは、紫外線や経年の中での影響により酸化チタン内部の酸素が酸化チタンから放出してしまい、酸化チタンが壊れると発生してしまう症状です。
一言で言うと、酸化チタンが壊れたものがチョーキングになるという事です。
ラジカル制御型塗料は、その大量にある酸化チタンをラジカル制御膜というもので包み、チョーキングを長期的に発生させないというのがラジカル制御型の仕組みになります。
よく「ラジカル制御型って新しいよね?」なんて聞かれる事もありますが、業界経験が短い営業マンなどはパーフェクトトップが発売された近年に発売されたと思いがちですが、
実は「ラジカル制御膜で包む」機能は幾年も前から使われているのです!
それも日本ペイントだけではなく、SK化研(エスケー)や水谷ペイントでも販売されていました。
そこに目をつけ、「ラジカルグレード」というラジカル制御膜の技術に特化したパーフェクトトップを製造し大々的に販売したのが皆さんご存知、日本ペイントです。
なぜ「ラジカル制御型塗料」という新しいグレードが発売され、昨今で主流になっているのか?
それはラジカル成分の量が関係しています。
以前のシリコン塗料などにもラジカル制御膜はあったと先述しましたが、全体の酸化チタンのわずかな比率でしかラジカル制御膜で覆われていませんでした。
ただしそれらの技術や研究の進化によって、塗料内の酸化チタンも高耐候チタンに変わり、全ての酸化チタンがラジカル制御膜で包まれたのです。
この技術により、ラジカル制御型塗料が完成し、今となってはそれが主流となりました。
※独自開発などで違う方法で製造している塗料メーカもありますが、そういった場合は大手メーカーのラジカル制御機能より性能が劣る事等、何らかのデメリットがある場合がほとんどです。
外壁塗装において最も大事なのは「下地処理と下塗り材の選定」ではありますが、
こういった塗料メーカーや塗料グレードごとの特性を理解しておくと、更にリスクを回避でき、不備の出にくい外壁塗装工事ができるかと思います。
業界内でも、実はこういった塗料の各成分までを細かく把握し施工する施工店は多くありません。
施主様の外壁材や屋根材には何が合うのか?どんなリスクがあるのか?
少しでもご不明点がある際は、ぜひ品質重視の外壁塗装専門店 ワンリフォームへご相談ください!