屋根塗装工事における必見内容を公開しております。(スレート系)
【下塗り材の塗り込み度合いの重要性】
外壁材と同じく屋根材も各メーカーから数えきれない程の種類が存在します。
そんな屋根塗装工事を行う内容はほとんど同じで、お見積り内容でもそこまで差はないと思います。(一式などの簡易見積もりは例外)
そしてそんなスレート系屋根材やコロニアル系屋根材だからこそ、「ミソ」としてあげられるのが、下塗り材をどこまで塗るか?です。
経年劣化したスレート系屋根材やコロニアル系屋根材は、吸水力が非常に強くなっています。
一度下塗りを行っただけでは屋根材が吸水しきってしまい、中塗りや上塗りへ進む頃には下塗りしていない乾燥した状態と同じ事が非常に多いです。
これは多くの塗料メーカーでも注意喚起されておりますが、業界ではまだまだ手抜きが多い部分でもある内容ですが、
本来は、屋根材表面に光沢が出るまで何度でも下塗り工程を施さなければなりません。
見えない部分だからこそ、剥離や紫外線劣化などですぐに塗膜異常を引き起こさない為に、きちんとした下塗り工程の実施は必要になります。
※吸い込みを止める専用下塗り材なども販売されている程です。
【確実な縁切り処理の実施】
近年では当たり前になっていますが、内容を勘違いし「やればやるだけ良い」と考える施工店などもあるようですのでご注意ください。
スレート系屋根材やコロニアル系屋根材は下塗り工程を必要な状態になるまで実施すれば、工事後の大きな問題へ直結することはほとんどありません。(天災などは除く)
ただしそれには、「縁切り処理」を適正に施していなければなりません。
専用材である「タスペーサー」は高価だった時代には、カッターを用いて手作業で屋根全体を縁切り処理する事もありましたが、現代ではタスペーサーもリーズナブルになり縁切り処理の手間もなくせる為、多くの施工店がタスペーサーを使用しています。
ただしそのタスペーサーも、01工法(シングル工法)や02工法(ダブル工法)があり、業者によっては03工法(トリプル工法)とお見積りする施工店もあります。
ざっくりですが、スレート系屋根材やコロニアル系屋根材は 横幅90cm前後×高さ21cm前後が一枚あたりの大きさになり、「シングル工法=屋根材一枚にタスペーサーひとつを挿入」「ダブル工法=屋根材一枚にタスペーサー2つを挿入」という内容になり、屋根の状態に合わせて工法を選定しなければなりません。
スレート系屋根材やコロニアル系屋根材は軽量で人の力でも簡単に割れてしまいますので、そこにダブル工法以上、タスペーサーを二つ以上挿入してしまうと、塗装作業中の職人の歩行の荷重で割れてしまうこともあり、屋根材によってはシングル工法をお薦めする事も少なくありません。
※トリプル工法は「他社と差別化したいだけ」「お見積り金額をあげたいだけ」の可能性もありますので、推奨できません。
【塗装推奨しない屋根材:パミール・コロニアルネオ】
こちらは非常に知名度のある屋根材になりますので、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
パミール・・・品確法の改正により、アスベストの完全撤廃が実施された2006年頃より、アスベストが含有していないスレート屋根材として需要が急激に高まり採用されていた屋根材です。
「パミール」は、薄い層を複数枚に重ねプレス(圧縮)しただけの屋根材の為、年数が経つにつれ、複数枚が広がってしまいボロボロに崩れていってしまう屋根材です。
さらに経年劣化の中でミルフィーユのように層間剥離(そうかんはくり)を起こしてしまい、塗装工事ではどうにもできない屋根材です。
その広がってしまった表層に塗膜を形成しても、何ら意味のない工事になってしまうので、「塗装業界でも推奨しないのが当たり前」となっているのです。
コロニアルネオ・・・こちらもアスベスト完全撤廃の頃より需要が高まり採用されていた屋根材になります。
層間剥離を引き起こすパミールと違い、コロニアルネオは異常なほどにクラックが発生してしまう屋根材です。
テレビアンテナや屋根点検などで屋根の上に人が登ったことのないお家でも、経年劣化にて無数にクラックが発生してしまい、塗装工事の際に全てを補修すると高額になってしまう為、カバー工事を推奨する屋根材です。
これらの屋根材を知らない施工店は現代ではかなり少ないですが、葺き替えやカバー工事の際の「ぼったくり」にご注意ください。
【まとめ】
- 下塗り工程では「乾燥後に表面に光沢が残る状態まで塗らなければならない」
- シングル工法かダブル工法での縁切り処理の実施。
- 複数回目の塗装の場合、カッターにて縁切りを行うかの確認。
- 「パミール」や「コロニアルネオ」の場合、屋根改修工事で相見積もりを取る。
よくある質問
下記にてよくあるご質問を公開させて頂いておりますが、電話orメールでのご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
Q:初めての屋根塗装工事で注意すべき点はありますか?
A:はい。初回の屋根塗装では、「下塗り材の塗布量」が最重要となります。
初回の屋根塗装で下塗りの塗布量不足や板金部の仕様ミスがあった場合、2回目以降の塗膜が形成された時に激しい剥離の不備が出る可能性があります。
また2回目以降の塗装では初回の塗膜の密着力を頼りにする為、初回の屋根塗装は一番大事なタイミングと言っても過言ではありません。
弊社では、細部の止水処理など、屋根塗膜の耐久性だけを信頼しない+α工事も実施しております。
Q:2回目以降の屋根塗装で注意すべき点はありますか?
A:ございます。
初回とは違い、2回目以降は旧塗膜の状態によって仕様が大きく変わります。
最も見落としてしまいがちなのは、旧塗膜の下塗り不足です。
近年多いスレート系屋根などの様々な屋根材の上に塗られる塗膜ですが、経験がないと下塗り不足があったかどうか判断すらできない項目です。
見た目は何も問題なく艶が引けて色褪せした程度だったのに、新たに塗膜を形成したことによって旧塗膜を引っ張ってしまい、剥離に変化してしまう事も多々あります。
Q:艶(ツヤ)を調整すると汚れが落ちにくくなりますか?
A:メーカーやグレードによっては落ちにくくなります。
ただし外壁塗料と違い屋根塗料の方が汚れなどに強いという面もあります。
近年標準仕様として販売されている屋根塗料は弱溶剤(油性)塗料になりますが、対汚れ効果の強い水性塗料も新たに販売されてきています。
また外壁同様に、意外と知られていないのが、艶を落とした方が汚れが目立ちにくいという事です。
屋根の艶あり塗料は蓄熱性も高い為、少しでも断熱したい方は、断熱・遮熱塗料を推奨します。
※断熱・遮熱塗料はメーカによって機能が異なり、艶消しの種類がほとんどです。
Q:屋根の水性塗料と油性(弱溶剤)塗料で密着力に変わりはありませんか?
A:これはメーカーと職人の腕によって大きく差が出る項目です。
よく水性ペンと油性ペンを想像される方も多いですが、塗料についての密着力はこの変化だけでは影響されませんが、希釈率という「塗料と水を混ぜる割合」を間違えた場合は例外です。
また屋根用の水性塗料は以前から多く販売されています。
屋根は365日休まず働き耐久している為、外壁より劣化や傷みが出やすい部位でもあります。
そして剥離などが多いのも水性塗料になりますが、これは下塗りの影響を受けやすいと考えるのが妥当と言えます。
以前にいくつかの水性塗料で屋根塗装を実施しましたが、通常通りに下塗り材の選定と塗布量をきちんと守った為、何も問題はありませんでした。
したがって、一概に油性(弱溶剤)塗料が絶対!とは言い切れません。
Q:屋根の高圧洗浄時に薬品を入れるた方が良いですか?
A:入れなくても充分コケや藻は落ちます。
最近でも、◯◯洗浄!などと大袈裟に言う業者もいますが、ケルヒャーなどではない専用の洗浄機であれば、薬品などを使用せずにきちんと屋根材の洗浄ができます。
また塗装工事でコケなどを除去する事は絶対にできません。除去しますと断言している業者は何か特別な細工をしているか、見えない様にしていることがほとんどです。
コケはスレート系屋根材や瓦系屋根材表層に付着しているように見えますが、実は建材内部から生えてきている事がほとんどの為、その部分を少し削るなどしない限り完全除去はできません。
Q:屋根の役物(棟・隅棟・換気棟・ケラバ)はどうやって施工するのが良いですか?
A:塗装だけではない止水処理も施すことです。
これは屋根を塗装する場合、かなり鍵になるポイントです。葺き替えやカバー工法の改修工事でない場合は、本来塗装のみがベターです。ただし塗装だけだと、台風などの強風で棟板金や隅棟板金が飛散し近所の方へご迷惑をおかけしてしまう事も少なくありません。
いつくるかわからない自然災害に役立つのが、釘の抜け防止処理です。
棟板金や隅棟板金は風に煽られ揺れ、経年とともに留め具である釘がテコの原理で浮いてきてしまうものです。それをそのまま塗装しても板金が飛散するリスクは全く回避できません。
そこで品質重視の弊社では、塗装したのに数ヶ月、数年後で板金だけダメになってしまわないよう、塗装前に浮いている釘は打ち込み、釘頭に抜け防止処理を施してから屋根塗装を行います。
また弊社では、金属製の板金役物には、屋根材と異なる錆止め下塗り材を用いて塗装していきます。
Q:屋根の調査にドローンを使うのはなぜですか?
A:パフォーマンスの一環や測量の時間短縮だと思っています。
屋根に登り写真を撮る場合でも、専用の伸縮棒にて撮る場合でも、
屋根全体を撮影する事は困難になり、ハシゴを用意して登り測量するより、ドローンで撮影したものの中から屋根材の枚数を数えればだいたいの数値は算出できる為、だと思います。
ただしスレート系屋根材など、似たような種類が存在する建材は、一枚あたりの長さや幅が10cm〜20cmほど違うものもあります。
弊社は時間をかけても質を守りたい為、直接屋根に登り細部まで確認する体制ですが、実際に歩いてみないとわからない事も多くあり、やはりドローンはパフォーマンスと時間短縮と言えるでしょう。